頭痛②|頭痛の時に飲む漢方薬5選|冷えのぼせ・虚弱・低気圧・めまい・ストレス

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こんにちは。

前回は頭痛のメカニズムと白い薬(西洋医学の、一般的に薬と呼ばれるもの)について書きました。今回は「じゃあ、漢方・ハーブ・アロマで対応したい場合はどうするの?」ということで緑の薬がテーマです。

文字数的にキリがいいので今回は漢方、次回はハーブ・アロマについて書きます。

(前回の記事はこちら→「頭痛①メカニズムからお薬の種類まで解説|コリからくる緊張型頭痛・ズキズキと脈打つ偏頭痛

おまけの記事もあります→「アスピリンの働きについて書かれた参考サイトまとめ|プロスタグランジン|アセチル化」)

さて漢方から書きますよ。

というのも私、タイムリーにこの記事を書く数日前に緊張型頭痛で悩んでいたのです。

普段頭痛持ちじゃないので、珍しい強烈な頭痛の対処に慣れてなくて、とりあえずフィーバーフューカプセルペパーミント精油のロールオンに頼りました(詳しくは次回書きます)。

ちょっとは楽になるのですが、やっぱり緑の薬は白い薬よりも体に負担がかかりにくい分、体がうまいこと代謝できてしまうので持続時間が短く(私の体感は3時間くらい)、申し訳ないけど緑の薬だけでは足りない状況に…。

私の頭痛はズキンズキンと脈を打つ偏頭痛ではなく、頭が締め付けられるような緊張型頭痛でした。頭や肩まわり、腕のほうまで筋肉の緊張が続いていたので、まず鍼灸院に行って鍼を刺してもらい、筋肉をゆるめてもらうと痛みが9割減!

9割もなくなってしまえば、もうペパーミント精油だけでも十分だったのですが、ブログのネタ集めも兼ねて近所のドラッグストアへ。かなり広い路面店で、漢方薬ゾーンにズラーッと漢方薬の箱が並んでいるんです。チラッと成分見て帰ろうと思ったら、登録販売者のお姉さんが声をかけてくれました。

私は断りにくい性格なので最初に「まだ買うか買わないかは決めていないんですけど…」と言っておきました。にもかかわらず、めちゃくちゃ熱心に教えてくれるものだから、「何か1個試しに買ってみようか…」なんて買いそうになってしまいました。

完全に返報性の原理ですね。お姉さんがそこまで意識してるかは謎ですが。 (^_^;)

(“返報性の原理(法則)とは、人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになるという心理作用のこと”

引用元→「ビジネス心理学>返報性の原理(法則)とは」)

そのお姉さんの情熱を忘れないうちに書きたいと思って、今回は漢方から書こうと思いました。(笑)

頭痛に用いられる漢方薬5選

漢方の記事を書くにあたり、「漢方薬って体に良いから、何も注意せずに無制限に飲んでいいんだ」と思ってほしくなかったので、前置きが長くなってしまいました。長くなりすぎたため、別の記事として投稿しました。(笑)

チラッとでも目を通していただけると嬉しいです。

(前回の記事→「薬をやめるべき理由2つ|根本解決にならない・臓器に負担をかける|頭痛ネタ番外編」)

あくまで「依存しすぎない」という意識を持ったうえで、頭痛のときに飲まれる代表的な漢方薬を5つ紹介します。

1.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)|冷えのぼせさん

配合生薬:

  1. 桂皮(ケイヒ)
  2. 芍薬(シャクヤク)
  3. 茯苓(ブクリョウ)
  4. 桃仁(トウニン)
  5. 牡丹皮(ボタンピ)
適した体質比較的体力がある人
頭痛以外の訴え上半身はのぼせて足は冷える
主なはたらき血のめぐりを良くする
注意重篤な副作用として肝機能障害

中医学では血(けつ。現代で言う血液とほぼ同じ。)が滞った状態を「血瘀(けつお)」と言い、滞った血のことを「瘀血(おけつ)」と言います。(日本漢方だと、一緒くたに「瘀血」にしているようです。)

血が滞ったことにより「月経異常、月経痛、更年期障害、肩こり、頭重(ずじゅう)、めまい、湿疹・皮膚炎」などが起こります。じゃあ血の流れを良くすることで、体を楽にしましょうという狙いですね。

面白いのが「頭痛を治しましょう」というもハズレではないけれど、「血の滞りを治しましょう」に焦点が当たっているところ。これが西洋医学の白い薬と漢方薬の違いです。

(「こういう感じ」というイメージを伝えたくてAmazonから画像を持ってきていますが、焦らずお近くのドラッグストアで登録販売者・薬剤師さんに相談してご購入を検討するのもよいかと思います。

参考→「クラシエ>ホーム>漢方薬を選ぶ>漢方薬名解説>桂枝茯苓丸

おくすり110番>桂枝茯苓丸

漢方の山中薬局>瘀血」)

2.当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|虚弱な冷え性さん

配合生薬:

  1. 当帰(トウキ)
  2. 川芎(センキュウ)
  3. 芍薬(シャクヤク)
  4. 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  5. 沢瀉(タクシャ)
  6. 茯苓(ブクリョウ)
適した体質虚弱な人
頭痛以外の訴え冷え性で貧血の傾向があり疲労しやすい
主なはたらき血のめぐりを良くする
注意胃腸の弱い人には不向き

こちらも先ほどの桂枝茯苓丸と同じ、血のめぐりを良くする漢方薬です。虚弱な人の場合に用いられます。

この2つと「加味逍遙散(かみしょうようさん)」をあわせて「婦人科3大漢方薬」と言います。(3つとも男性が飲むこともあります。前の2つは血のめぐりを良くするものでしたが、加味逍遙散は神経の高ぶりや精神不安などに効果的です。)

2つは似ていますが桂枝茯苓丸は

  • 打撲
  • ねんざ
  • しびれ
  • むちうち

などに効果的なのに対し、当帰芍薬散は

  • 月経不順
  • 不妊症
  • 習慣的流産
  • 乳腺炎
  • むくみ

など、より女性特有の症状に特化している印象を受けました。

「血の滞りはさまざまな体調不良の原因になるんだなぁ」という感じですね。

(参考→「おくすり110番>当帰芍薬散」)

以上の2つに加えて、「薬用養命酒」も選択肢に入ってきます。先日の登録販売者のお姉さんによれば、「頭が痛いのですが…」と来店される方は、高確率で体が冷えているそうです。特に女性。

体調をヒアリングした上で「この人の頭痛は多分冷えから来ているな」と思えば、薬用養命酒をオススメすることもあります…と教えてくださいました。

(参考→「養命酒製造株式会社>ホーム>薬用養命酒トップ」)

3.五苓散(ごれいさん)|吐き気・むくみ・二日酔いさん

配合生薬:

  1. 猪苓(チョレイ)
  2. 茯苓(ブクリョウ)
  3. 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  4. 沢瀉(タクシャ)
  5. 桂皮(ケイヒ)
適した体質口が渇き、尿量が少ない人・子ども
頭痛以外の訴え乗り物酔いや夏バテ
主なはたらき水分循環を改善し、無駄な水分を取り除く
注意副作用として発疹・発赤、かゆみが出る可能性

こちらの五苓散も、登録販売者のお姉さんが教えてくれたもの。低気圧のときに痛くなるタイプの頭痛におすすめしているそうです。

体内の水分が滞った状態を「水滞」、停滞したり偏在している状態を「水毒」と言います。五苓散には「散」という字が入っているとおり、水分の停滞・偏在を散らすようにして整えてくれる力があるとのことです。

頭がズキンズキンと痛くなる片頭痛(偏頭痛)や、お酒を飲み過ぎた際の二日酔い、夏バテやそれによる嘔吐や下痢など、水分と関係していそうなイメージがわいたでしょうか。そして意外にも顔の神経痛や帯状疱疹などに効果的です。

子どもは大人と比べて体の水分の割合が多いので、五苓散が効くことが多いのだとか。

五苓散の仲間としては「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」があり、こちらもズキンズキンと痛む片頭痛(偏頭痛)や肩こり、吐き気、しゃっくりなどに効果的です。呉茱萸湯はあまり体力がなく、手足が冷えやすい人に用いられます。

(「しゃっくり」というと、メディカルアロマの鎮痙攣作用を思い浮かべちゃいますね。フェノールメチルエーテル類とエステル類。)

(参考→「おくすり110番>五苓散

おくすり110番>呉茱萸湯」)

4.苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)|胃がチャポチャポのほっそりさん

配合生薬:

  1. 茯苓(ブクリョウ)
  2. 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  3. 桂皮(ケイヒ)
  4. 甘草(カンゾウ)
適した体質体力がなく、ほっそりした人
頭痛以外の訴えめまい、動悸、胃がチャポチャポ
主なはたらき水分循環を改善、のぼせや頭痛を発散
注意甘草の大量服用により「偽アルドステロン症」
(複数の方剤の長期併用時など。めったにない。)

偽アルドステロン症とは、”血圧を上昇させるホルモン(アルドステロン)が増加していないにも関わらず、高血圧、むくみ、カリウム喪失などの症状があらわれる”ことです。

(引用元→「厚生労働省>重篤副作用疾患別対応マニュアル>偽アルドステロン症」)

この苓桂朮甘湯も先ほどの五苓散(ごれいさん)と同様、水分のめぐりを整えてくれるものです。加えて、桂皮が入っているのでからだを温めて頭痛をやらわげる力があります。

頭痛のほか、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、のぼせにも良く、「めまい」では最初に名前が挙がる漢方だとか。

そして感情の高ぶり、怒り・イライラや精神不安にも効果があります。

(めまいが長く続く場合は、脳腫瘍などの深刻な病気のサインとなっていることもあるので、一度病院で診てもらって「原因不明」「異常なし」と言われてから漢方を試すのがいいですね。)

(参考→「おくすり110番>苓桂朮甘湯」)

5.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)|ストレス・不眠・悪夢・高血圧さん

配合生薬:

  1. 柴胡(サイコ)
  2. 竜骨( リュウコツ)
  3. 牡蛎(ボレイ)
  4. 黄ごん(オウゴン)
  5. 大黄(ダイオウ)(ツムラ製品は含まない)
  6. 半夏(ハンゲ)
  7. 人参(ニンジン)
  8. 茯苓(ブクリョウ)
  9. 桂皮(ケイヒ)
  10. 生姜(ショウキョウ)
  11. 大棗(タイソウ)
適した体質体力が中等度以上の人
頭痛以外の訴え精神不安、高血圧、更年期神経症
主なはたらき心と体をおだやかにする
注意胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き

柴胡加竜骨牡蛎湯は、”体の炎症や機能の亢進状態をしずめる“柴胡”と“黄ごん”、気分を落ち着ける“竜骨”と“牡蛎”、おだやかな発散作用のある“桂皮”、胸のつかえ感や吐き気をおさえる“半夏”などが配合されています。”

(引用元→「おくすり110番>柴胡加竜骨牡蛎湯」)

また、精神を安定させるはたらきがあり不眠、悪夢、めまいや動悸、頭痛、円形脱毛症、ストレスによる高血圧、小児夜泣き…などにも力を発揮します。

(参考→「小児科・アレルギー科 さもり小児科>トップページ>漢方の目で見る子どもの体と健康>小児神経症、てんかん

吉 耳鼻咽喉科 アレルギー科>トップ>院長の健康情報コラム>よくわかる子供の漢方:感覚過敏/夜泣き/夜驚症」)

いや~、「体の炎症や機能の亢進をしずめる」「気分を落ち着ける」って、まんまラベンダー精油だなって思っちゃいました。「胸のつかえや吐き気をおさえる」といえば柑橘系精油。また次回書きますけどね。(笑)

アロマショップに売っている安眠ブレンドって、ラベンダーとオレンジなどの柑橘系が入っていることが多いんですよ。

柴胡加竜骨牡蛎湯の説明を見ていると、「ストレス過多で交感神経が優位になって、血管が細くなって高血圧になって、めまいや動悸や頭痛を引き起こす」という感じなので、いわゆる緊張型頭痛に効きそうですね。

消化器官は副交感神経が優位の(=リラックスしている)ときにはたらきます。「胸のつかえや吐き気」もストレス過多で交感神経が優位になって、消化器官が動いていないために不快症状が出ていると言えるでしょう。

「ストレスが頭痛の原因⇒気持ちを落ち着けてリラックスすることが、頭痛の改善になるパターンもあるんだな」という感じですね。

ところで、はじめに「いくら漢方薬が体に良さそうでも、依存しすぎない意識を持つことが大切ですよ」という話をしました。

じゃあ依存しすぎないために、他に何を改善しろって言うの?」という方もいるかと思います。

例えば「カウンセリング」や「コーチング」を取り入れて、完璧主義や心配性すぎる人が適度に「まあいっか!」と思えるマインドを身につけるのもいいと思いませんか?

「完璧じゃないと絶対に許せない」と思っていると、ちょっとでも完璧じゃないことが起こるたびに、ストレスを感じて血管を細めて肩こりや頭痛に悩まなければいけないんですよ。

それを「80点でもまあいいかな」と思えるぐらいにすれば、ストレスを感じる頻度が減って、薬も減らせるかもしれないじゃないですか。

自分の体の操縦者は自分なので、視野を広げつつ、メンテナンスしてあげてくださいな。(^_^;)

ちなみに今回勉強に使った参考書籍はこちら。↓

何といってもイラストだから、抵抗感なく読めるのがいいです。ふりがなが振ってあるので、小学生でも読めるくらい。

こちらは私が去年登録販売者試験を受けようと思って買ったもの。(今年受けます。)3章にずらっと漢方薬の説明があり、助かりました。文字色が黒と薄オレンジの2色なので、目がチカチカせず見やすかったのも購入の決め手に。

頭痛に用いられる漢方薬まとめ

そこそこの文字数になり「あれ?最初のほうのやつ、何だっけ?どう違うんだっけ?」という方もいるかもしれないので、一言でまとめます。

1.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血のめぐりが悪く、上半身はのぼせて足は冷える人。

2.当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
1と同じく血のめぐりを良くするが、虚弱な人に使える。婦人科の症状にも。

(薬用養命酒)
冷えからくる頭痛の場合に勧めることがある。

3.五苓散(ごれいさん)
水分循環が悪い場合。低気圧や二日酔い、夏バテなど。

4.苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
これも水分循環改善+からだを温める。めまいで最初に名前が挙がる。

5.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
ストレスからくる頭痛に。不眠・悪夢・円形脱毛症・高血圧にも。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。当てはまりそうな症状はありましたか?

少しでも頭痛改善のきっかけになれたら、一生懸命書いた甲斐があります。(^_^;)

次回はハーブ・アロマ編ですね。お楽しみに!

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