家事はなぜ大変なのか?②

前回の続きから)

最近、本やSNSで「察してほしい女」とか「主婦業を年収に換算」といった話が出ているので、重複する部分もあるかもしれませんが、私なりの解説をさせていただきます。

家事はなぜ大変なのか?

「家事が大変?」「主婦業の年収はウン千万!?」「そんなバカな」「何が大変なの?」という方は、おそらく、実際の作業内容を見ています。

例えば、皿洗いだと、キュッキュッキュッと円を描くようにスポンジでこすり、ジャーッと水をかける。掃除機なら、持ち手部分を前後に動かしながら移動すれば、勝手にゴミを吸い込んでくれる。洗濯はボタンを押せば、洗濯機がキレイにしてくれるし、料理はトントントンと包丁を下ろせば食材は一口大になり、フライパンに入れて火をつけたら、焦げつかないように、菜箸を前後に動かして混ぜ合わせる。

たしかに、皿洗いには高等なテクニックも必要ないし、蛇口から水を出すのも、昔のように井戸からくみ上げず、レバーを軽く動かすだけでOK。掃除機も洗濯機も、ボタンを押すのに暗号が必要なわけでもない。大昔のように、食材を爪や歯でちぎらなくてもよく、フライパンや菜箸が20kgも30kgもあるわけでもない。

一見誰にでもでき、簡単そうに見える家事は、なぜ大変なのでしょうか。

「マネージャー」の給料は高い

会社で、「マネージャー」とか「チームリーダー」って呼ばれる方の月収、一般の社員よりも高く設定されていませんか?

そうです。「家事はなぜ大変なのか」というと、「マネジメントをしているから」です。

実は、家事で大変なのは、作業をしているその瞬間よりも、その前段階なのです。

運動部に所属する高校生がいて洗濯の手間がかかるとか、玉ねぎや牛乳をまとめ買いして重いとか、単純に家事作業自体が大変で疲れる場合もありますが、疲れの原因の大半は「マネジメントをしているから」ではないかと私は思います。

この度、私は「ライターデビュー」をすることができたのですが、私が所属しているところでは、「構成」と「執筆」の担当者が分かれています。

どういうことかというと、

・まず、世の中の人々が、どんなテーマに関心があるのか

・そのテーマについて調べたときは何を知りたがっているか

・競合他社は、それに対して何を提供しているか

・他社と差別化できる、自社の強みは何か

・それを実現するために、どんな見出し・ストーリーで

・それぞれの文字数は何文字程度で、全体では何文字程度にまとめれば、読みやすいか

という大枠をリサーチして、まとめ上げるのです。

その後、「ここは○○~××文字以内で書いてください」「△△の画像をどこどこに挿入してください」といった具体的な指示に起こし、ライターはその指示を受けて執筆作業をします。

私が作業をする頃には、もはや「単純作業」と言っていいほどに、作業が具体化されています。その分、作業単価もそれほど高額ではありません。

逆に、市場調査や競合調査をし、ストーリー展開を考え、具体的な作業に落とし込む作業は、かなりの時間を使い、頭も使うはずで、構成さんの作業単価は高いのではないかと思います。

マーケティングを勉強したことのある人にとっては当たり前かもしれませんが、世の中の全ての製品やサービスが、このような、事前の入念なリサーチを経て、市場に出されています。

入念なリサーチなしでも、市場に出すこと自体はできるのですが、生き残ることができません。

「好きなことを収入にしたい」と思い、ハンドメイド作家になったり、エステや飲食店を開いてみたものの、売上が上がらずにつぶれてしまうのは、マーケティングが足りないからなのです。

学校祭だったり、劇や踊りの発表会、スポーツの試合なんかもそうですよね。当日も疲れるし大変だけど、圧倒的に、企画・立案・準備・練習のほうが、時間と労力がかかっています。

「プロジェクトマネージャー」とか「経営コンサルタント」とか言う人のお給料って、すごく高いイメージがありますよね?

とにかく、このプロジェクトを成功させてくれよ!」とか「なけなしのお金を払うので、何とか立て直してください!」と上の人やクライアントから頼まれるのです。

でも、「どうしたらプロジェクトが成功するのか」「何をやったら経営がV字回復するのか」なんて、簡単にはわかりません。

そこで、時間を使い、頭を使い、人脈を使い、「これをやることで、○○を実現します」という方針を決め、「じゃあ、○○さんは××日までに、この作業をやってください」と具体的な作業まで落とし込みます。その過程が大変で難しいから、多くの報酬が支払われるのです。

次回に続く)

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